RION Techinical Journal Vol.3
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対策:粉末活性炭添加損害:運営コスト増   給水制限、停止❶異臭味障害生物に起因して原水、浄水、給水等に異臭味(カビ臭等)が発生する現象対策:凝集剤添加量増加損害:運営コスト増❷凝集沈殿処理障害生物が関与して凝集沈殿処理が悪化し、通常の凝集剤使用量では濁質の多くが沈殿処理水中に残存してしまう現象対策:ろ過池洗浄頻度増損害:運営コスト増❸ろ過閉塞障害ろ過池において残存、増殖した生物によって、ろ過層が異常な目詰まりを起こし、過持続時間が短縮する現象対策:薬品添加量増損害:運営コスト増   給水制限、停止❹ ろ過漏出障害生物がろ過池を漏出し、ろ過水の濁度が上昇する現象取水塔沈砂池薬品混和池フロック形成池沈殿池・次亜塩素酸 ナトリウム・次亜塩素酸 ナトリウム・苛性ソーダ・硫酸アルミ ニウム・次亜塩素酸 ナトリウム・苛性ソーダ・次亜塩素酸 ナトリウム・ポリ塩化 アルミニウム着水井ろ過池浄水池配水池注入する薬液植物プランクトンの流入対策:粉末活性炭添加損害:運営コスト増   給水制限、停止❶異臭味障害生物に起因して原水、浄水、給水等に異臭味(カビ臭等)が発生する現象対策:凝集剤添加量増加損害:運営コスト増❷凝集沈殿処理障害生物が関与して凝集沈殿処理が悪化し、通常の凝集剤使用量では濁質の多くが沈殿処理水中に残存してしまう現象対策:ろ過池洗浄頻度増損害:運営コスト増❸ろ過閉塞障害ろ過池において残存、増殖した生物によって、ろ過層が異常な目詰まりを起こし、過持続時間が短縮する現象対策:薬品添加量増損害:運営コスト増   給水制限、停止❹ ろ過漏出障害生物がろ過池を漏出し、ろ過水の濁度が上昇する現象取水塔沈砂池薬品混和池フロック形成池沈殿池・次亜塩素酸 ナトリウム・次亜塩素酸 ナトリウム・苛性ソーダ・硫酸アルミ ニウム・次亜塩素酸 ナトリウム・苛性ソーダ・次亜塩素酸 ナトリウム・ポリ塩化 アルミニウム着水井ろ過池浄水池配水池注入する薬液植物プランクトンの流入植物プランクトンが大量発生し、浄水処理に支障をきたしている。そして、水道収入が減少し続けるなかで浄水場では人手が減り、障害に対処するための生物分析に長けた人材確保も難しくなってきています。こうした課題をクリアすべく、プロジェクトの方向性が定まっていったんです」 リオンが既に有していたのは、液体を常に流し続けながらそこに含まれる粒子の数と大きさをモニタリングできる微粒子計測器の技術。これを応用して浄水場の水を測定するシステム開発が始まっていった。あてのない市場探しから約1年後のことだ。 浄水場の水の浄化は上図のようなフローで行われ、植物プランクトンの発生により、4つの代表的な障害(生物障害)を引き起こす。その中でリオンがまずシステムの導入に最適だと判断したのは、ろ過池での「④ろ過漏出障害」だった。「この障害は、非常に小さな植物プランクトンの細胞が、ろ過池を抜けてしまい、水の濁りが増加してしまうという障害を発生させます。そこで、その障害を解決するにあたり、原因となっている濁質の種類が非常に重要で、それが植物プランクトンなのか、それともその他の濁質粒子なのかによって注入する薬液の種類や注入率などの処理方法が変わってきます。しかし、これまではそれをリアルタイムで監視するシステムはありませんでした。そのため、浄水場の生物分析担当者は、顕微鏡を用いた検査や、過去の経験や勘に基づいたトライアンドエラーを繰り返しながら対処するため、多大な手間が発生していました」 このシステムの技術的なポイントについて関本はこう説明する。「センサー部では紫色のレーザー光を、試料水が流れる石英ガラス製フローセルに照射し、レーザー光を通過する試料水内の粒子(植物プランクトンを含む全ての粒子)からの散乱光と、植物プランクトンがもつ葉緑素(クロロフィルa)由来の赤色の蛍光をそれぞれ検出しています。散乱光の検出部からは粒子の大きさおよび個数の情報が得られ、蛍光の検出部からは粒子の自家蛍光の有無および強度の情報が得られ、植物プランクトンとその他粒子の判別に利用しています。これらの結果から、レーザー光を通過した粒子の総数および植物プランクトン数、そして粒子1つ1つの大きさと自家蛍光強度をリアルタイムに出力できるため、障害の原因追及や対処に有効なツールとして活用されています」未来につながる本プロジェクトの意義 入社以来35年以上の間、ソフトウェア開発に関わってきた田中勝義は、各地の浄水場で利用されることとなった「XL-10A」において、ソフト面での管理や改良を担当している。様々なシステム構築に浄水場(急速ろ過方式)のフローと生物障害関本 一真技術開発センター 要素技術開発室 微 粒子センサ開発グループ。旧R&Dセンター所属時からプロジェクトに関わる。新市場開拓のための市場調査、企画、試作機製作、浄水場での実証試験、プロモーションなど、多方面で活動を行っている。システム構成図浄水場ではこのようなシステム構成によって測定が行われ、浄水の水質監視を行う。リアルタイムで植物プランクトン数と、その他の濁質粒子数を測定できるため、浄水処理効率の評価や、浄水処理における効率化、コスト削減が見込める。脱泡槽水面と排水口の高低差で10 ml/minの流量を作り出すフィルターより希釈用濾過水IN脱泡槽脱泡槽試料水(原水等)INシリンジポンプ洗浄用薬液タンク逆洗時排水制御ユニット10 ml/min排水逆洗用水道水IN(100 kPa)流量計制御用PC植物プランクトンカウンタ制御用CPUボードOVERFLOWOVERFLOWINLETOUTLET3

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