RION Techinical Journal Vol.6
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、二人はこれまで、どのような業務に携わってきたのでしょうか。 私は2010年に入社以来、主に営業関連の業務をしてきました。2021年4月、環境機器事業部内に新規事業推進室ができ、発足時からそちらに所属しています。文字通り、新たに取り組む事業を推進する部署です。 営業は基本的に販売目的の仕事であって、お客様のお困りごとすべてに寄り添うように活動できるわけではありません。新規事業推進室ではまず、お客様のお困りごとを解決しようという課題解決事業に取り組んでおり、サービスなど形のないものを提供しています。それによりお客様にリオンのファンになっていただくことを目指しています。 私は2012年に入社以来、生産技術課に所属しています。生産技術課は医療機器事業部に属していますが、医療機器に限らず環境機器などさまざまな製品の仕事に携わっています。 生産技術課の業務内容は非常に幅が広く、製造工程の改善・標準化・安定化・自動化および治工具の設計に関する業務、プリント基板の設計・実装に関する業務、金型の設計・製作・修理に関する業務と多岐にわたります。 私はその中で製造工程の自動化および治工具の設計に関する業務を担当しています。具体的には電気系の業務を担当し、生産設備や測定システムの電気的な組立調整からプログラムの作成を行っています。 社内から依頼を受け、仕様検討の段階から協働することもよくあります。二人に仕事上の接点はないように思えますが? もともと接点はありませんでした。私の部署はお客様を向いている一方で、原君の部署は社内を向いています。所属する事業部も違いますし、向いている方向も違います。ただここ1年ほどで接点ができました。新規事業推進室ではお客様向けのとあるプロジェクトを進めています。そのチームに、原君も含めて生産技術課から2人入ってもらいました。プロジェクトで出たアイデアを具現化しようとする際に、さまざまな意見をもらったり、技術的なバックアップをしてもらったりするなど活躍していただいています。 ふだん接点がないと、だれがどのような技術を持っているのか分かりません。今回そのプロジェクトに参加して、環境機器事業部にさまざまな技術を持った方がいることがわかりました。各人が持っている能力を持ち寄ることで、プロジェクトは順調に進んでいる印象です。聞こえの技術に関して、将来的にこんなことが実現すればということはありますか。 体内にマイクロチップを埋め込んで利用する技術がありますよね。たとえばマイクロチップを手に埋め込んでおいて、手を近づけるだけで鍵が開いたりタイムカードに打刻したりといったことができる技術です。そのような技術に抵抗感がなくなると、マイクロチップを体内に入れることが現実味を帯びてくると思います。耳の中に受信機としてマイクロチップを入れておくことで、補聴器を装着しなくても音を直接伝えることができれば面白そうです。実現できれば、補聴器を装着していることを隠したい傾向にある日本人には選択肢の一つになるかもしれません。 補聴器を装着する際のわずらわしさや抵抗感については以前から取り組まれている課題で、見た目を美しくしたり、できるだけ小さくしたりといった方向で開発されてきました。そうしたわずらわしさがなくなって、でもきちんと音が聞こえるというのはすごくいいことですよね。 私は今まで、音や振動の計測などに関係してきました。小さくなる、あるいはなくなるといいなと思うことは、実は騒音や振動に関するものにもあります。計測器やセンサはケーブルでつながれているんですが、それはできればなくしたい。マイクロチップを埋め込むように、センサだけ組み込んでおいて、遠隔でデータが取れるといいですね。 そうですね。小さくするなどのマイナーチェンジではなく、そのものをなくすなど変革が必要だとは感じています。 そこに何か種がありそうな感じはしますね。お客様から、ケーブルをなくして欲しいというご要望はよくいただくんですよ。それはおそらく補聴器のわずらわしさに似ているかな。医療とか機械とかにかかわらず、わずらわしいものをなくしたいということをリオンが実現できれば喜ばれるのではないでしょうか。ロボット技術やAI(人工知能)を、リオンではどのように役立てることができそうでしょうか。 リオンでは一つの製品を大量生産することはあまりありません。一般消費者向けの製品は補聴器だけで、補聴器以外の医療機器、環境機器、微粒子計測器原 広治医療機器事業部 生産技術課。2012年の入社以来、生産技術課に所属。製造工程の改善、標準化、安定化、自動化および治工具の設計に関する業務など、工程設計係の業務を担当。ミライの技術、  FUTURE TALK 10

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