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バックヤード現地校正などで使用する機器・備品を常備するフィールドエンジアの拠点。持ち出す道具は現場ごとに異なり、コンパクトにパッキングした上で車に詰め込む。五十嵐 涼リオンサービスセンター株式会社エンジニアリングビジネスユニット カスタマーサポートグループ 微粒子計測器チーム。2013年入社後、微粒子計測器の引き取りメンテナンス業務を経て、2017年より現チームに配属。「現地校正」のエキスパートとして活躍している。唐木 一成リオンサービスセンター株式会社エンジニアリングビジネスユニットカスタマーサポートグループ 微粒子計測器チーム。2011年の入社以来、テクニカルサポート一筋。現在は主に「多点計測システム」を担当、年間50件程度の新規立ち上げや不具合の調整に立ち会う。携行道具細かい工具類も目的や使用頻度を加味して整理整頓。定位置を守ることで、スピーディな校正作業を実現している。 現地校正では、微粒子計測器が吸入する空気の量に問題がないか、微粒子の数や大きさをきちんと計測できているか、電気的なノイズが一定レベル以下に抑えられているかどうかなど、JISで定められた性能試験項目をテストし性能を確認していく。シンプルな作業なのだが、現場でやろうと思うと一筋縄ではいかない。「一番工夫したのは道具です。バックヤードにあるすべての道具を持ち込むことはできませんから、現地校正に必要十分な道具を見極めて、簡易化して持参しています。この簡易化の工程に工夫を重ねました。例えば、消耗部品であるレーザーの交換が必要になることもありますが、微粒子を検出する装置の要であり、設置する際の角度調整がシビアなので現地で1から対応しようとすると手間取ります。またレーザーは繊細なので、軽い静電気で壊れてしまうこともあります。そこで、あらかじめ角度調整済みのレーザーが組み込まれたユニットを作り、それを丸ごと交換することで、品質を担保しつつスムースに作業を進められるようにしました」(五十嵐) 五十嵐は、現地校正のエキスパート。長らく微粒子計測器の社内メンテナンスを担当しており、その時代に培った膨大な知識とノウハウを持つ。同僚の唐木も「五十嵐は知識量が豊富なうえに発想力もある。不具合がある時に、何から調べていくべきか順を追って考えていくことができるから、現場でなんとかできるのだと思います。それに作業がめちゃくちゃ早いんですよ」と称賛する。 決められた時間内に作業を終えなくてはならない現地校正は、F1のピットインのように時間との戦いでもある。そのため五十嵐は道具のパッキング1つとってもこだわってきた。「不測の事態が起こることもありますし、お客さまから“これもやってよ”なんて、その場で追加オファーが発生することもあります。そんな時も知恵を絞って、できるだけ現場でなんとかするのがフィールドエンジニアの腕の見せどころなんです」(五十嵐) 微粒子計測器が置かれている特殊環境も作業のハードルになる。体に付いたチリやホコリを落とさぬようクリーンスーツを装着して作業するのはもちろんのこと、工場ではヘルメットや安全帯を装着したり、培養室に入る時は防護服を着込んだり、現場に合わせた装備が必要になる。秘密保持の観点からスマートフォンなど電子機器の持ち込みが厳しく制限されることも多いため、離れた場所にいるスタッフとのやりとりに四苦八苦することもある。それでも現場だから得られる喜びがある。「自分の成果に対してお客さまの反応がはっきりわかるから、もっと頑張ろうと思える。現場じゃないと得られないこの仕事の面白さです」(五十嵐)「お見積りからアフターフォローまで全工程に携わっているので達成感があります。不具合で困っていたお客さまが、最後には笑顔になるところまで見られて嬉しいです」(唐木) フィールドエンジニアたちは仕事道具を車に詰め込んで、今日も日本各地の現場に向かう。半導体や再生医療など、グローバルに注目される最先端事業の躍進には、リオンの微粒子計測器とその品質を守るフィールドエンジニアたちの地道な努力があるのだ。9時間も道具も限られたなかで“なんとかする”のが腕の見せ所

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