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● 任意波形(電気信号)● 可能● 可搬(スマホ、ノートPCから出力可)● 指が入れば加振可●●▲▲▲▲●▲ヨークアーマチュア磁石磁化の向きコイルバネi振動子の構造的なメリット従来のBA型はアーマチュアが磁気と機械の両方の役割を担っていたのに対し、i振動子はアーマチュアが磁気、バネは機械と役割分担を図っている。これが設計自由度を拡張させたことに寄与した。従来のBA 型は一方を固定しているためアーマチュアの一方の先端が弧を描くように動くが、i振動子では並進運動が可能になり振動子として扱いやすくなっている。他の加振源との比較i振動子は測定場所の自由度が広く、狭小部や防水構造に利用できる特徴を持つことから今後、幅広い分野での利用が期待されている。※目安、当社調べ隙間必要とし消費電力も大きく振幅も得られにくかった」と石川は語る。その欠点を克服するため、従来のBA型を根本から変えて新構造にしたものがi振動子だ。BA型を振動子にすると、アーマチュアの一方の端が固定され、もう一方の端が振動するため偏心運動を避けられない。それに対してi振動子は、アーマチュアの両端をバネで支持しており、並進運動して振動するため振動子として使い勝手がよかった。そのような構造にすることで、BA型の低消費電力な特長を生かしながら軟骨伝導振動子として補聴器に組み込むことが可能になったという。「i振動子はBA型と比べて設計の自由度が広いことも特長の一つです。バネの硬さと磁石の吸引力が釣り合うところで組み立てると、理想状態としては微弱な電流でも動かせるよう設計できます。そのため、たとえば磁石とアーマチュアの隙間を広げて振幅をかせいだり、あるいは横幅を広げたり、長さ方向を広げたりといったこともi振動子では可能です」 これまで不可能だった場面でも加振できる 補聴器向けに開発されたi振動子だが、石川たちは現在、補聴器以外への応用を考えている。「リオンでは計測器も取り扱っています。i振動子の計測器への応用を考えたとき、振動試験などに使えるかもしれないということで、i振動子を使った加振器の開発を進めているところです」と石川はいう。 加振器は文字通り振動を加える装置だ。たとえば自動車の開発時に走行テストなどを行う際、走行中に異音や異常な振動が出ることがある。そのようなとき、振動試験を行って異常な振動の出どころを探すことになる。振動試験ではインパルスハンマーでたたいたり、加振器で振動を加えたりして、応答を調べていく。 「ハイブリッド車の場合、エンジン以外にも電気系統があり、ボンネットの内部が密に詰まっているケースが多いのです。スペースに余裕がないためインパルスハンマーでたたくことができなかったり、思ったところに加振器を設置できなかったりすることがあります」と石川。i振動子は、サイズの割に加振力が大きいことがメリットの一つだ。「i振動子を使った加振器は、密集したボンネット内でも、たとえば指を入れることができさえすれば取り付けられます。狭いところでも加振できることは長所の一つです。」 また従来の加振器を使う際にはパワーアンプが必要だ。ただパワーアンプを使うには安定した電源が必要なため、コンセントがある場所でないと測定できなかったり、雨が降っていると測定できなかったりといった制約がある。 i振動子を使った加振器は低電力で駆動できるため、たとえばスマートフォンのイヤホンジャックからの電力でも加振できるわけだ。「その点が、非常に面白いと言われます。コンセントがない現場でも、手軽に測定ができる可能性があるのではないかと期待されています。また従来の加振器やインパルスハンマーでは、ボンネットを閉めた状態でボンネットの裏側を加振することはできません。i振動子を使えば、その状態でも加振できます。これまで加振できなかった場面でも加振できるのです」 思いもよらない使い方があるかもしれない 石川たちが期待しているのが、振動試験用の加振器に限らず、さらに違う分野への応用だ。「消費電力が小さいので、たとえばずっと振動を与え続けるといった用途で、消費電力の関係でこれまで諦めていたような場面でも、i振動子を応用すればできるようになるかもしれません。世間では省電力化が進んでいます。その流れの中で、従来のものから置き換えて使っていただければと考えています」 このように語る石川だが、自分たちの想像を超えた使い方があるのではないかと期待しているという。「どうせできないよねと、今まで諦めていたような場面で、i振動子を使うことで実現できることがあるのではないか。世の中には、私たち社内の人間では思いつかないような使い方があると思います。i振動子のことをもっと世間に知っていただき、これまでにない全く新しい発想で使っていただけるようになればうれしいですね」種類インパルスハンマー外形・重さ入力波形の自由度入力レベルの調整測定場所の自由度狭小部の加振100mm以上 ※200g程度~ ※Φ76mm×75mm以上 ※ 1.1kg~ ※加振器(動電形)BB-01 (軟骨伝導振動子用)約1g両面テープで取り付け可i振動子(BA-S型)7.8mm4.7mm11.9mm従来のBA型i振動子超小型・超低電力設計自由度が広い※樹脂ケース収納時並進運動化完全防水15

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