RION-JPN-vol8
12/24

まず、お二人がこれまで関わってきた仕事の内容について教えてください。 私は2009年に入社し、約10年間、音響振動計測器の開発に従事してきました。騒音計、振動レベル計の開発などです。そして2019年からは音響振動製品の製造現場で仕事をしています。所属部署では製品の製造も行っていますが、私の仕事は新しく物を作るのではなく、既存製品に使われている部品が製造中止になった際の対応や機能追加など、既に販売している製品の設計変更に関わっています。 私は2008年入社で、当初は医療機器の開発に関わっていました。約10年間、開発を担当した後、2019年からは製造技術課という部署で、篠﨑さんと同じく、既存製品の中止部品対策やお客様からの問い合わせ、ご要望への対応などを担当しています。それでは、数十年後の未来、リオンはどのような社会貢献をしているんでしょう? イメージをお聞かせください。 私が関わっている医療機器の分野ですと、生体センシングの技術が進化することで広く社会に貢献できるのではないかと考えました。たとえば難聴の疑いのあるお子さんに聴力検査を行う場合、現状では、おでこに電極を貼ったり、時には嫌がるお子さんにお薬を使って眠っていただいたりするケースもあります。でも、生体センシングの技術が発達して帽子のようなものをかぶるだけで聴力検査が可能になれば、多くの方に負担をかけずに済みます。将来は、本人が聴力検査の信号音に反応しなくても自動的に検査ができるようになればいいと思いますし、そのような機器あるいは技術をリオンが提供している未来をイメージしています。そのような機器の開発を実現するためには、具体的にどのような技術が必要だと思いますか?篠﨑さんは数十年後の未来に、リオンがどのような形で社会に貢献できればいいとイメージしますか? まずは、音と生体反応の関係を研究するところからになるかと思います。音に密接に関連している生体反応があれば、その反応のセンシング技術、解析技術を得ることで、リオン独自のストレスのない検査を提供できると思います。 私は環境機器に関わっていて、建設現場や道路などでの騒音計測の未来について考えています。多くの騒音環境において、これまでは人が騒音計を操作して計測するスタイルでしたが、現在はノイズマッピングという技術の中で、定点計測の自動化が進んでいます。これから労働人口が減っていくことを見据えると、このような自動化の基盤整備がもっと進めばいいなと思います。そうした背景のなか、街のあらゆる所に、さらに多くのセンサを設置し、個人のデバイスを含めた膨大なデータを取得して、より多角的な分析や活用をAIが担っているような未来をイメージしています。 医療機器事業部でも似たような話題になったことがありました。実は騒音にさらされているにもかかわらず、その人があまり意識していないケースが多い。でも騒音にさらされ続けると、やはり聴力にダメージを負うことはあります。ノイズマッピング技術において、今後、個人のスマートフォンアプリによる騒音環境のモニタリングが進めば、取得した情報から個人の騒音ばく露による影響を評価し、騒音性難聴を防ぐなど、医療機器分野が貢献できる可能性も広がりますね。 これまで医療機器と環境機器の接点について深く考えたことはなかったんですが、センシングの技術、AIや遠隔操作、スマートフォンなどが連携し合うことで、医療機器も環境機器も似たような進化ができるかもしれない。さらには両分野が掛け算をしながら進化できれば、とてもリオンらしいなと思いました。 そのような視点で考えると、製品についての問い合わせや、修理対応などにおいてもひとつ、アイデアがあります。私が関わる音響振動関連の製品はとても種類が多く、中には数十年前からロングセラー製品として販売されているものもあります。お客様からこうした製品についての問い合わせが10篠﨑 はるな 環境機器事業部 製造技術部。2009年入社。入社以来10年間は音響振動関連製品の開発に従事。現在は製造現場で設計変更などに携わる。FUTURE TALK FUTURE TALK ミライの技術、  ミライの技術、  

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る