具体的には「聞こえ」をどうやって人間同士のつながりに結びつけていくのですか? ひょっとすると技術の進化という視点ではなく、リモートで高齢者同士をつないでいくとか、高齢者同士のリアルな繋がりの場を提供するなど、「聞こえ」を仕事にする私たちですから、その先の「コミュニケーション」を進化させるような場を作るといったことかもしれません。 とてもユニークな発想ですね。井出さんがおっしゃるように、これまで行ってきた業務の範疇から一歩離れて、まったく異なる方向に分岐していく新規事業があってもいいのかなと私も思いました。そのように空想を拡げていくと、「音」の捉え方も未来に向かって変わっていくのかもしれない、「騒音」というネガティブなイメージだけでなく、さまざまな環境や状況下でポジティブに機能する「必要な音」の需要も増していくのかなと思います。 そう考えると「音」の可能性は拡がりますね。リオンは「音」を扱う企業ですから、未来には私たちの行うべきことも今より幅が拡がっているかもしれません。 たとえば、騒音計は法規や条例に従って、開発し使っていただく製品です。こうした製品は時代に応じてもちろん進化していく必要があります。でも、こうした枠内に収まらない発想もリオンの未来につながっていくのかなとあらためて感じました。くると、過去の資料を紐解きながらとか、あるいは社内で古い時代の製品開発に詳しい社員を探して尋ねるとか、簡単に解決しないケースがあります。場合によっては開発に詳しい方が退職されてしまっていて、細かい機能について調べるのにとても時間が掛かるケースもあります。そのような状況を変えるようなデータベース、あるいはAIチャットボットのようなシステムがあれば、お客様への対応もスピーディになると思っているんです。これまでリオンが開発してきた製品すべての機能に関するデータが一元管理されれば、リオンが想定していない使い方をされているお客様への対応などにも利用できるでしょう。本当に長年、リオン製品を使い込んでいただくことで、こちらの想像を超えた質問をされるお客様もいらっしゃいます。技術そのものや、開発の流れなどに関する知識をなるべく属人化させないということですね。 そのアイデア、とても共感します。医療機器も基本的には製品サイクルが長く、極端なケースでは私が生まれる前に開発された製品を今でもお使いのお客様がいらっしゃいます。そのようなお客様からの質問や相談に対して、AIやデータベースを使ってスピーディに対応できれば、業務効率とともにサービスも向上すると思います。ここまでのお話は、少子高齢化や労働人口の減少に関わるものです。こうした日本の問題は、ネガティブである反面、リオンが人や社会に貢献できるチャンスでもあるということですよね? そうですね、空想の範囲を超えませんが、将来、高齢者に対する予防やリハビリの分野で何かできることがあればいいとは感じています。難聴にならないよう予防していくシステムとか、耳のトラブルによるめまいを感じているお客様に対するトレーニングとか。 補聴器での対応ももちろんしながら、そのような予防、リハビリ、トレーニングにも貢献できればいいですよね。 また、個人的に感じているのは、高齢化が進むことで過疎地域や都会での孤立などがより深刻な問題となり、人と人とのつながりが一層、大切になるだろうということ。リオンは「聞こえ」を業務の中心に据えている企業ですから、「聞こえ」を切り口に人間同士のつながりを維持していくことができればいいなと考えています。11井出 あずさ医療機器事業部 製造技術部。2008年入社。入社以来10年余、開発に従事し、2019年からは製造技術課にて設計変更や中止部品対策などに携わる。未来のリオンはどのような技術によって社会に貢献する企業となっているだろう。異なる部署に所属する二人のスタッフが、リオンの未来像を夢想する本企画。今回は医療機器、環境機器に詳しい二人が登場する。SESSIONSESSION中堅エンジニアたちのトークセッションミライのリオンミライのリオン
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