中国[上海]編 上海リオンはリオン株式会社の子会社です。北京、広州、武漢の拠点と連携しながら、リオン製品を中国全土に宣伝・販売することが主な仕事です。環境計測機器を中心に医療機器も取り扱っており、アフターサービスまで行っています。クライアントは製造業、特に多いのが製造現場での騒音や振動に対して意識の高い自動車メーカーや自動車部品メーカー、次に多いのは家電メーカーになるでしょうか。私の仕事は、お客様からの問い合わせを受け、細かく要望をうかがい、時に現場を視察しながら、お客様のニーズを満たすには何が必要か、またリオンのどの製品がお客様に相応しいかを提案することです。 目下、頭を悩ませているのは、安価な中国製品とどう戦うかということ。厳しい戦いですが、リオンの魅力を伝えるべく営業を頑張ってきた甲斐あって、中国の製造業界でもリオンの認知度は高まっています。その理由は、中国と日本は地理的・文化的に近く、システムやUIの設計が似ており、中国人にとって日本の製品は馴染みやすいからです。また、リオン製品は高価だけれど安心感があり、同レベルの欧米メーカー製品より使いやすいと評価されている部分も大きいでしょう。リオン製品をさらに便利にお使いいただけるよう、我々も中文への翻訳を積極的に推し進めており、取扱説明書はもちろん計測器のシステムも中国語版を増やしているところです。 もう1つの課題が中国政府の方針との兼ね合いです。上海リオンでは今、中国の環境モニタリングシステム業界に進出するべく力を入れているのですが、中国政府は国策としてローカル製品を積極的に採用しており、リオンが今後一層、シェアを伸ばしていくためには努力と工夫が必要となるでしょう。 さて、リオン製品に関してお客様から頻繁に聞かれることがあります。「なぜ、これだけオプションがあるのですか?」という質問です。日本ではオプションでカスタマイズすることが当たり前ですが、中国では装備できる機能は全て盛り込んで売るのが一般的だからです。ある時、ACアダプターがオプションになっているハンディタイプの騒音計を購入したお客様から「乾電池は切れやすいのでACアダプターを標準装備するべきだ」というご意見をいただきました。私も確かにそうだなと思ったので日本の本社に問い合わせてみると、「騒音計は外で使うもの。充電を忘れてしまったら全く使い物にならないが、電池タイプならコンビニで乾電池を買って動かすことができる。たくさんの荷物を持って実際に計測現場を巡ってみたら、今でも乾電池をデフォルトにしている意味がわかると思います」と説明を受けました。なるほど! と思いましたね。 今、中国は空前のEVカーブーム。政府も力を入れており、この1年でいくつもの車種が販売され、充電スタンドなどインフラも整備されてきました。上海からチベットまでEVカーで問題なく行くことができるほどです。こうした状況を踏まえ、EVカー市場で高性能なリオン製品が活躍できる新たなフィールドを積極的に開拓していきたいです。北京市武漢市広州市上海市16取材・文/高橋 美由紀唐 史超(タン シーチャオ)リオンの子会社である上海理音科技有限公司(通称:上海リオン)に2013年入社。営業部所属。生まれも育ちも上海で、休みの日はお隣の浙江省で山登りを楽しむのが趣味。海外で働くリオンのスタッフが仕事や暮らしについてレポート。異国でリオンがどのように貢献しているのか、かの地での暮らしぶりはどのようなものなのかなどを、毎号、リレー方式で紹介していく。中国音響産業創新大会に出展した上海リオンの面々上海リオンが入るビル大都市・上海をカヤックから眺めて趣味の登山中に撮影した美しい風景登山では茶畑など多様な中国の風景を楽しめる上海リオンで取り扱っている環境騒音観測装置「NA-37」FROM OVERSEAS 日本と異なる中国の市場環境に対し、製品とサービスをどうアジャストしていくかが課題
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