※騒音ばく露計は、これまで海外製品だけであったため、「NB-14」が国産初の騒音ばく露計となる。(2023年6月 当社調べ)れだけ騒音を浴びたかを測定できる国産初※の騒音ばく露計「NB-14」である。手のひらサイズのこの小さなデバイスには、日本の労働衛生を引き上げる大きな可能性が秘められているのだが、開発にはいくつもの壁が立ちはだかった。 「NB-14」開発の裏側には、2つの潮流があった。1 つは、ハード面での開発を担う「騒音ばく露計開発プロジェクト」。リオンが長い間培ってきた騒音計開発のノウハウを持つ、佐藤成をリーダーとしたエンジニアのチーム。もう1 つが、2019年に新市場開発グループで発足し、「聞こえ」を専門とする中市健志をリーダーとした「騒音性難聴予防プロジェクト」である。この2 つの流れが合流し、開発プロジェクトがスタートした。個人騒音ばく露※測定に必要な機器「NB-14」で測定されたデータは、専用USBケーブルを介してコンピュータに取り込み、管理、閲覧できる。その際に使われるのがデータ管理ソフトウエア「AS-05Viewer」や測定結果表示アプリだ。測定前後には「NC-75」を使用して音響校正を行うことが正式な手順として推奨される。3音響校正器「NC-75」データ管理ソフトウェア「AS-05Viewer」「NB-14」と専用USBケーブル測定結果表示アプリ※「個人騒音ばく露」とは、作業者個人が騒音にさらされること。国産初の騒音ばく露計を 近年、労働衛生意識の向上とともに、労働環境における作業者の個人騒音ばく露について、にわかに注目が集まるようになってきた。2021年にWHOが「World Report on Hearing」(聴覚に関する世界報告書)にて「難聴は高齢者のみならずあらゆる年齢層の人々に起こることと、予防可能かつ治療可能であり、難聴に関するケアの優先度を上げる必要性がある」と発表したことを受け、2023年4月には、厚生労働省による「騒音障害防止のためのガイドライン(令和5年基発0420第2号)」が改訂され、健康障害防止対策が一層強化された。 一連の動きに伴って、リオンがこの度発売するのが、場の騒音でなく個人がど現代人はつねに、騒音にさらされ続けている。そして近年、労働衛生の観点から職場における騒音ばく露がクローズアップされるようになった。リオンはこの課題と向き合うべく新たな機器を開発。手軽かつスピーディに、騒音職場で働く作業者の個人騒音ばく露を測定できる騒音ばく露計「NB-14」である。その背景にあったいくつかの事実、そして開発者たちの工夫と努力、さらにはリオンが目指す騒音性難聴予防の未来について紹介していく。
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