RION-JPN-vol8
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リスクコントロ測定データターデ定測測定データ果結ルー聴力検査結果5行い、日本労働衛生工学会や騒音障害防止研究会などで次々と研究発表を行っていたのだ。中市とともに活動していた武田も手応えを感じ、こう語った。「騒音ばく露計の使い方を中心に、より正確な測定をするための騒音ばく露計の装着法や、騒音対策などについて研究発表を行いました。『労働衛生』という分野でリオンがどんな会社であるかを知ってもらうことができたと思います。発表は、どれも興味を持って聞いていただけましたが、特に『騒音ばく露計の使い方』についての質問が多く、何に興味を持っていただいているか知ることができました。使い方が簡単であることへの反応も上々で、『NB-14』の方向性は間違っていなかったことを確認できました」 しかしながら、プロジェクトのゴールはさらに先にある。2019年よりスタートしていた騒音性難聴予防の研究の流れを汲んだ、「騒音性難聴ゼロ」が最終目標である。研究によると、事業所の自主的な騒音障害防止対策に委ねられてきたガイドライン改訂前は、有所見率10 %を超える事業所が8割を超える一方、作業環境の定期的な測定の実施率が6割に留まり、聴覚保護具(防音保護具)の改正についての認知状況は3割以下であることが分かっている。この状況を改善するために中市らが掲げるのが「聴覚保護プログラム」である。 聴覚保護プログラムは、騒音ばく露計で測定した作業者の個人のデータを保存、活用し、医療機関と事業所が一体となって難聴リスクをマネジメントしていくシステムのこと。「NB-14」で測定した作業場の騒音レベルから適切な遮音値を算出し、フィットテストを通じて個人に適合する聴覚保護具(耳せん)の選定をサポートしたり、着用の教育訓練を行うことで遮音値を高めたりする項目を含んでおり、リオンがこれまで培ってきた難聴予防のためのノウハウを活用できる内容になっている。「労働衛生意識の向上とともに、騒音障害防止においてリオンが貢献できる領域はどんどん広がっていくと思います」 単に自社製品の開発にとどまらず、行政や外郭団体、他メーカー、専門家たちとタッグを組みながら、騒音障害防止のためにメーカーとしてできることを真っ直ぐに。労働衛生という新たなフィールドにおいて、リオンの挑戦はまだ始まったばかりだ。騒音ばく露計A測定B測定安全管理者衛生管理者安全衛生委員会メンバー騒音計言語聴覚士社内安全衛生委員会安全管理者衛生管理者社内安全衛生委員会リスクアセスメント作業場の騒音対策作業者への騒音対策耳せん取り付け効果(教育)オージオメータ予防策の決定産業保健師産業医Step8作業の邪魔にならない使用環境が制限されない誰でも簡単に測定できるStep1Step7リスクマネジメントファイル社内安全衛生委員会へリスクマネジメントが簡単に行える指定された書類が簡単に作成できる指定された書類が簡単に作成できる作業環境測定結果報告書特殊健康診断報告書記録を作業者へ労働基準監督署へStep2Step6実施記録武田 葵技術開発センターR&D室 新市場開発グループ。2021年入社。「騒音性難聴予防プロジェクト」のメンバーとして調査や研究に尽力。顧客インタビューや労働衛生に関する研究に関しては、社内でも屈指の知識量を誇る。作業者の経年記録職場騒音と結果の紐づけがリスクの評価結果は自動で計算対策方法の選択肢の提案効果も予測できる耳せんの取り付け方の効果確認ができる簡単にできるStep3Step4Step5山下 大輔技術開発センター 製品・技術開発室 音響振動計測器開発グループ。2021年入社。「騒音ばく露計開発プロジェクト」メンバーとして佐藤成PJリーダーと共に「NB-14」の設計•開発に貢献した若手エンジニア。特に、衝撃音と騒音を区別するための研究において力を発揮した。聴覚保護プログラム騒音ばく露計や騒音計で測定したデータを、社内安全衛生委員会で共有し、作業者や作業場への騒音対策に活用する。将来は電子カルテの開発を視野に入れ、産業医、産業保健師などとの連携により、騒音環境と難聴との関係を紐解き、騒音性難聴予防を含めた高度な労働衛生管理の実現をめざす。

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