タイ編取材・文/高橋 美由紀 リオンがノルウェーの音響計測器メーカー「ノルソニック」をグループに迎えたことに派生して、2023年10月からタイのバンコクにある「ジオノイズ」というノルソニックの現地販売店に出向しています。 ジオノイズは従業員20名ほどの会社で、オランダ人の社長以外は全員がタイ人スタッフ。建築音響のエキスパートが多く、知見をお借りすることも多いです。社長もタイ語が話せるので、オフィス内はタイ語が飛び交う環境。私はタイ語がわからない一方、彼らはあまり英語が得意ではないので、コミュニケーションをとる時は、リオンが採用した英語が話せるタイ人スタッフのポンサンに助けてもらっています。一般的にタイ人は日本人よりも楽観的と言われていますが、ポンサンはとても真面目で気遣いができ、リオン製品についても詳しいので、頼りになる存在。毎日気持ちよく仕事ができます。 私の業務は、自動車メーカーや家電メーカーなど、タイに進出している日系企業に騒音計や振動計を中心としたリオン製品を販売する営業のサポートですが、課題の多い日々が続いています。興味を持ってもらえると期待していた営業先では、私たちがベストだと思った商品がニーズと違っていたり、計測器類は日本で使っていたものをそのまま使うからと言われたり。 でも、ここタイの仕事では、お客様と直接お会いできることにとても充実を感じています。日本で海外営業部に在籍していた頃は、基本的にパソコンを通してコミュニケーションをとっていましたので、お客様からの反応をダイレクトに感じる機会がほとんどなかったからです。直接、お会いすると、オンラインでは聞けなかったお客様のリアルな声が聞けるんですよね。例えば、日系企業を訪問する際によく耳にするのが、技術継承の問題です。日本人の技術者が長年の経験や感覚、知識をもとに行っていた音や振動測定方法を現地スタッフに正しく継承できないまま帰国されてしまうといった問題があります。そうであれば、感覚的、属人的な情報をリオンの計測器で数値化しマニュアル化することで、現地マネージャーへの引き継ぎも上手くいくのではないでしょうか。こうしてお客様の困りごとをリオンの技術と発想でなんとか解決できないかと日々思案しています。 バンコクでの生活は快適です。自宅は便利なバンコク都心部にあり、街は清潔ですし、生活に必要なものは何でも揃っています。日本のものは割高ですが、物価はあまり変わらないですし、食事にも買い物にも困ることはありません。ただ、交通は日本と様子が異なります。電車内は冷房が効きすぎてかなり寒く、日本ほど鉄道網が大きいわけではありません。家から会社があるサーイマイまでは約35キロと離れていることもあり、通勤には電車で2時間くらいかかります。また車での移動も舗装されていない道が多く、揺れるあまり車酔いをしてしまい、その間メールを返すことすらできないのが、なかなか悩ましいところです(笑)。 まだまだ、タイの生活に慣れるのに一生懸命で楽しむところまで至りませんが、今後は休日にタイ国内や近隣諸国を旅するなどして、タイや周辺地域のことをもっと理解していきたいなと思っています。サーイマイバンコクタイの首都、バンコクの街並み勤務している「ジオノイズ」社のオフィス「ジオノイズ」社のオフィス周辺「ジオノイズ」社で取り扱う製品14南小柿 里佳リオン株式会社 タイ駐在員事務所 営業サポート 。2020年リオンに入社。開発部 技術資料課を経て、2021年に環境機器事業部 海外営業部に異動。2023年からタイに海外出向中。ノルソニックの現地販売店「ジオノイズ」に所属し、リオン製品の営業サポートを行っている。海外で働くリオンのスタッフが仕事や暮らしについてレポート。異国でリオンがどのように貢献しているのか、かの地での暮らしぶりはどのようなものかなどを紹介していく。ともに働く「ジオノイズ」社の仲間たちFROM OVERSEAS タイ赴任3カ月目。対面でしか聞けないリアルな声に充実を感じて。
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