今回のテーマ地域の農作物meetsホームタウン!OUR FAVORITE TOWN, KOKUBUNJI リオンのスタッフがナビゲート 取材後記リオンのスタッフが、国分寺で活躍する旬な人や場所を訪れ、国分寺の魅力を再発見するコーナー。「こくベジ」の愛称で親しまれる国分寺の農畜産物。こくベジのプロモーションに企画から携わり、野菜や果物の集配を担当する奥田さんに、その魅力をうかがいました。こくベジを使っている飲食店の様子奥田さんたちがこくベジを配達している飲食店は30〜40件ほどで、白いタペストリーが目印。取材日には注文の野菜の他にも、農家さんからのお花のおすそ分けなどが届けられた。(写真・左)Little Cook(写真・上)胡桃堂喫茶店国分寺市内の農家の様子住宅地の中に農地が点在しているのが特徴的。直売所を設けているところも多く、新鮮な野菜や果物を手に入れることができる。季節や日によって品揃えは変わるので、野菜との出会いは一期一会。(写真)清水農園奥田 大介NPO法人めぐるまち国分寺1974年岩手県生まれ、東京都板橋区育ち。高校在学中に板橋から国分寺にアルバイトで通い始める。その後、市内の新聞販売店に13年勤務し、2007年より周辺地域の活動に参加。ぶらぶらマップ、地域媒体アサココ、ぶんぶんウォーク、おたカフェ、こくベジプロジェクトなどの立ち上げに関わる。現在はカウンセリングの仕事と併行し、こくベジプロジェクトの配送担当として国分寺の街を走りまわる。コーディネーター/棚橋 早苗 国分寺の飲食店では「こくベジメニュー取り扱っています」と書かれたタペストリーをよく見かける。国分寺市は東京都の中では農地面積の割合がとても高い地域で、国分寺で採れる地場農畜産物は「こくベジ」と呼ばれ親しまれている。都市型農業なので、栽培規模は小さいが幅広い種類の農畜産物を育てていることが特徴だ。 国分寺は江戸の新田開発の頃から畑作が続いており「うちは代々この土地を耕していて自分は何代目だ」という農家さんが多く、落ち葉を集めて堆肥にするなど、昔からの循環型農業も自然な形で続いているようだ。単に近場で採れた野菜という以上の魅力を知ってもらうため「国分寺三百年野菜 こくベジ」の愛称が名付けられた。 2016年に、地場野菜を地元の飲食店のメニューに取り入れてもらい、それらのお店を通じて魅力を発信するプロジェクトが立ち上がった。しかし、従来の販売方法は共同直売所や農家さん各々の庭先販売。これだけでは飲食店が地場野菜を仕入れることは難しく、続けていくことができない。そこで、奥田さんたちが飲食店から野菜の仕入れの要望を聞き、農家から配達する「こくベジ便」というシステムが始まった。 都市型農業では要望の野菜が季節的になかったりサイズがさまざまだったりと、飲食店が普段仕入れている野菜のようにいかないことばかりだ。それでも、奥田さんたちが農家さん・飲食店の双方と丁寧にコミュニケーションをとり続けた甲斐あって、こくベジは着々と根付いていった。「たとえば、国分寺の駅ビルにあるチェーンのパン屋さんでは、旬のこくベジをのせたフォカッチャが定番メニューになっています。納品される野菜の規格がバラバラでも工夫して使ってくれて、とても美味しく仕上げてくれています」チェーン店に取り入れられていることからも、こくベジには安定供給や均質さを上回る魅力があり、地域に定着し信頼されていることがわかる。 こくベジの魅力を奥田さんは次のように語る。「まず、とにかく新鮮なことです。採れたての野菜を食べると、中の水分までもが生きているようなエネルギーを感じるんです。そして何より、野菜の作り手と使い手の顔が見える環境が、お互いのモチベーションにつながっているように思います」新鮮なこと、作り手・使い手の顔が見えることは地産地消のメリットとしてよく挙げられているが、こくベジはまさにその良さを体現している。「こくベジを使っていると聞いて、嫌だなとか、良くない反応をする人を見たことがないんです。みんなが『いいね!』と思うことに携われているのがすごいことだなと感じています」“農家と飲食店をつなぐ”。この一言を軌道に乗せるのには、やはり幾多の困難がありました。「こくベジ」の良さをもっと多くの人に知ってほしいとの強い想いを胸に、市内のイベントやお祭りなどで伝え続けたことで共感の輪がどんどん広がり、現在、こくベジメニューのある飲食店は90にのぼります。奥田さんのお話を聞くと「こくベジ」を介して顔の見える関係が見えてきます。生産者や料理する人、それらをつなぐ人の想いを感じながら食べると、また一味違った豊かさを感じられると思いました。(リオンテクニカルジャーナルスタッフ 岡部 雄紀)15農家から飲食店へ。運んで作る地産地消の文化リオン国分寺
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