画面表示および機能例画面表示には、実績が多数ある横河電機製SMARTDAC+(GX10)を搭載。拡張セキュリティ機能により、安全で追跡可能なデータ管理を提供し、PIC/SとWHO、MHRA、FDAで言及されているALCOA+に則ったデータインテグリティにも対応する。暗号化されたバイナリ形式データでの管理や、 電子署名(サインイン)機能、監査証跡(オーディットトレイル)機能、オペレータ管理権限設定機能なども搭載。様々な結果を、見やすい画面で表示する。XL-M4Bの内部構成図試料を導入後、微生物の自家蛍光を特異的に増強する深紫外線を照射。これにより偽陽性計数の低減と、装置内微生物汚染リスクを低減し、飢餓状態の菌の検出も可能とする。次にセンサ部では半導体レーザーを照射。光学フィルターと光検出器によって、細菌がもつフラビン酵素の自家蛍光を検出し、微生物の数をカウントする。結果はモニターに表示され、データロガーによって記録される。深紫外線照射部はリオンの特許技術。鈴木 智大微粒子計測器事業部 新規事業推進室。2014年入社。製薬専門の販売2課を経て微粒子計の営業として地域担当を経験した後、現部署に配属。製薬分野担当の営業スタッフとして活躍。データロガー半導体レーザー深紫外線ランプ冷却部試料導入部深紫外線照射部圧力計試料流量制御部フローセル特許技術逆止弁廃液光学フィルター光検出器センサ部水上 敬微粒子計測器事業部 開発部。1997年入社。生物粒子計数器の開発メンバーとして、「XL-M4B」設計・開発の中心となってプロジェクトを推進。精度を高めるための深紫外線照射装置や社外製の記録計の組込。また製薬業界の学会(PDA製薬学会)の委員会に所属し精力的な学会・研究活動により製薬業界での導入に向け大きく貢献。7計数結果表示部および制御部(405 nm)・微生物の自家蛍光を特異的に増強・偽陽性計数の低減・装置内微生物汚染リスクの低減細菌がもつフラビン酵素の自家蛍光を検出し微生物をカウントする※個々の微生物の自家蛍光を検出思いつくものではない」 製品に組み込むソフトは開発部が作るもの、という常識を覆され、鈴木はそれまでの考え方を大きく変えられたと感じた。もっと自由に発想を豊かにしなくてはならないと、思いを新たにしたという。 その年の夏、鈴木は水上とともに新たなデモ器を手に、製薬会社を回っていた。もともと、精度の高さは顧客も認めるところだったものだ。そこに、厚生労働省と米国の厳格な要件にも対応するデータロガーが加わったことになる。「こういうデータの残し方をしてほしい」「こうした機能もほしい」といった顧客からの細かな指示に対し、鈴木はプログラムの書き換えなどで応えた。 中でも鈴木が対応に力を入れたのは、とある大手製薬企業だった。そこは、水上があのアイデアを思いつくに至るきっかけになった企業でもあった。「自分は途中からの担当ということにはなるんですけど、いきなりこれほどのビッグネームとやりとりをするということは大きなモチベーションになりました。逆に、ここで上手く行かなければ、もう先はないという緊張もありましたね」 最終的には、センサ部、制御用PC、流体制御部、深紫外線照射部などが一体化した画期的な製品が完成した。これら各ユニットが一体となった設計により、バリデーション作業などはユニット毎に行う必要がなく、作業の時短にもつながる。製薬用水の製造現場は可搬性、作業効率などが求められるため、こうした各ユニットの一体化はユーザーにとって重要なポイントなのである。 鈴木が営業を担当するようになり、少しずつデモ評価を重ね、数ヶ月が経ったある日。いつものように大手製薬企業を訪れ、鈴木は先方の担当者から、採用という言葉を聞かされた。「嬉しさの反面、開発した直後の製品なのでしっかりとフォローしていかなくてはいけないという責任の重さも感じましたね」 ここまでの一連の流れを、佐々木氏は社外から見つめ続けてきた。国立感染症研究所に長く勤めてきた佐々木氏は製薬業界におけるルールや、生物粒子計数器にはどのような機能が必要であるかなど、リオンに対し的確な助言を与え続けてきた経歴をもつ。日本の薬局方だけでなく、世界の基準に対しても精通している国内屈指の存在である。「薬に対する基準の中でも、欧州は特に大変です。そのEDQM(欧州医薬品品質管理局)が、現在では迅速法を積極的に導入しなさいと言っている。今後はこれに則って世界中も動いていくことでしょう」 佐々木氏の言う迅速法とは、微生物迅速試験法という、日本薬局方に記載されている検査法の一つだ。リオンが開発し完成にこぎつけた「XL-M4B」の計測方法のことである。 日本では、国内屈指の大手製薬企業がこれを採用したことで、現在、他の製薬企業もこれを導入する動きが加速しつつある。 佐々木氏は言う。「人が月に行きiPS細胞も発明された時代に、コッホが確立した130年前と同じ方法が未だに使われているなんて。これからは、迅速装置を使う時代なんです。間違いなく」改良を重ねた製品に対し、大手製薬企業が出した答え
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