RION-JPN-vol11
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「つながる」機能は利便性の高さに直結する。“環境”では、インターネットに接続することで、騒音測定のため長時間遠隔地に設置された機器の状態確認が可能となり、“産業”では、周辺機器との接続性が向上しシステム構築がしやすくなる。“建築”では、室外からの機器の遠隔制御により測定に必要な労力を大幅に削減することができる。「騒音計は現在、新たな使われ方に向かう過渡期にいると思っています」と風間は言う。 「つながる」ことはまさに、測定業務の可能性を大きく拡げるのだ。 こうした求められる仕様を実現して誕生した「NL-53」の検証作業を行ったのが、当時入社2年目だった江副泰亮を含むプロジェクトメンバーだった。「私の場合は、騒音計の発売後、オプションプログラム開発の途中から関わっており、例えば製品に期待する性能を満たしているか、出力される演算値が正確な値を示しているかといった検証を主に行っていました」 騒音計は本体が発売された後も、音質の違いを調べるためのオプションプログラム開発や、市場の要望に応えるためのアップデートが続く。幾度も行われた検証作業に、江副は次のような考えをもって臨んでいた。「長い時間、騒音計に触れることが大事だと思っていて、その結果思いもよらない不具合が見つけられたりします。ですから少しの違和感も見逃さないほど、製品と向き合うことが重要だと思います」 学生時代に音響に興味を持ち、大学では音響設計学科で学んだという江副は、自身の変化を次のように語る。「当時はよく分からないままリオンの騒音計を使っていましたが、自分が作る側になったことで、いろいろな評価値の演算について、具体的な方法などを業務で学べることは、とても貴重な経験です」 妥協なく製品と向き合ってきたことで、江副はその後、オプションプログラムの設計にも携わるようになっていった。4■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■本体底面■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■新たな使われ方に向けた騒音計、その機能と品質を追い求めて 測定現場において「つながる」ことの意味は深い。騒音計が関わるその現場を、風間はこれまでの顧客との関係性から大きく3つの「分野」で捉えている。「ひとつ目は私達が生活する“環境”に存在する騒音、ふたつ目は“産業”において製品が発する音、最後に“建築”における建物内部の音質です」 “環境”はまさに、騒音対策としての用途で、騒音計は長い間、主にこうした場面で使用されることが多かった。しかし今やそれだけではなく、“産業”の場面においても、騒音計は「音質の違いをとらえる検査機器」として、品質検査のためにも使われている。例えばモーターを搭載する製品など、音から分かる不具合を発見し、速やかに品質管理者に通知するためのシステムに組み込まれているのだ。また“建築”の場面では、建材の音響特性を評価するために、隣接した室内の音を同時に測定することもある。 これら3つの分野のいずれにおいても、

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