VC値振動レベル計 「VM-57」「VM-55」の後継機として2024年7月17日より発売。計量法および日本産業規格の「振動レベル計」「振動レベル計–取引又は証明用」に適合。振動レベルおよび振動加速度レベルの瞬時値や時間率レベルなどの最大値、最小値を3方向同時に測定・表示できる諸機能を継承するとともに、新機能としてVC曲線による評価値「VC値」を容易に算出することが可能に。製品の詳細はウェブサイトで11「VM-57」はどんな製品ですか?長濱 振動レベル計という地盤や床の振動を測る測定器です。本体と付属の3方向振動ピックアップで構成され、人の振動感覚に基づく特性で補正した、振動レベルを測定できます。揺れというのは物理現象ですが、物理的な振動が例えば100としたとき、それを人間がそのまま100と感じるかといえば実はそうではないんですよね。人の感覚は振動の周波数によって違いがあって、物理量のみの評価では感覚と測定量が一致しないんです。そこで、人の感覚に合わせて補正をかけた数値を算出します。これが振動レベルです。リオンはこのような振動レベル計の分野で、トップレベルのシェアを誇っています。 どういう場所で使われているのですか?長濱 多いのは、プレス機など振動が発生する製造機械を使う工場と、工事現場ですね。あとは鉄道や道路の振動など、“環境振動”と言われる分野ですが、そういった場所で使われています。例えば工場であれば「金属加工機械を持っていたら振動の数値を測定しなければダメ」とか工事現場の場合は「くい打ち作業をするのであれば振動の大きさがこの数値を超えてはダメ」といった規制があるので、それに当てはまる場所では必ず測定をしています。また他の用途で言えば、トンネルを掘る際や採石場など、山に爆薬を入れて掘削する際の発破振動測定にも使われたりします。 法律で決まっているのですね。長濱 はい。地域と時間帯で細かな規制値を定めた振動規制法という法律があり、同じように騒音規制法もあるため、振動レベル計と騒音計は一緒に使われることが多いです。最近は街の工事現場などで「ただ今の騒音◯◯dB・振動◯◯dB」という表示器を見ることも増えたと思いますが、あの中に入っているのが騒音計と、実はこの振動レベル計です。常に数値を表示しておくことで、近隣の方々に配慮して作業しています、ということをお知らせして、安心して頂けることから、需要が増えています。 どのような方が購入するのですか?長濱 市役所等自治体の環境関連部署やゼネコン、環境測定を行う環境コンサルタントなどと呼ばれる方々です。また、半導体製造装置などの精密加工機械を設置する業者の方々からの需要も、ここ4〜5年で増えてきています。精密機械や電子顕微鏡での作業などは、地面が揺れていると加工精度に影響を与えてしまうので、そうした機械を設置する場所で 「VM-57」の利点はどのようなところですか?長濱 先ほど述べた人の振動感覚に加え、「VC値」の算出ができることです。「VC曲線」という振動基準を定めた評価方法があり、「この精密機械を設置する際にはVC値が◯◯以下を推奨」という基準があるため、最近多いのは新しく工場を建てる際に事前に測りたいといったニーズです。これまでは大掛かりな装置を使用して測定し、出てきた結果を換算するといった手間がかかっていたのですが、「VM-57」の場合はコンパクトな機械ですぐにVC値を見ることができます。これが新しい機能であり強みとなります。別売となりますが、アプリの入ったSDカードを挿入してインストールするだけです。他にも、LAN端子の搭載により通信機器との接続を強化したことや、USB Type-Cコネクタの搭載でモバイルバッテリからの給電も可能となったためコンセントがない場所での長時間測定ができる点も、大変便利だと思います。 2024年7月に発売されたばかりですが、やはりVC値がすぐに見られるという点は、特に好評をいただいています。振動を測定するニーズが高まってきています。振動測定のイメージ年々小型化、精密化する半導体の製造装置や加工機械などの精密機械は、高い加工精度が求められる。わずかな振動であっても、製品の品質や作業効率に影響を与える可能性があるため、精密機械を設置する床の振動測定は欠かせない。こうした振動環境で機械が正しく動作する最低限の振動基準を定めた評価方法が、表示画面近年一般的になってきている「VC曲線」だ。「VM-57」は、これまでの人が感知できる有感振動を、さらに精密機械に影響する微振動の領域にまで広げた「VC値(VC-A〜Gまでの評価値)」をVC曲線から算出。上の表示画面では、X軸とY軸がVC-A、Z軸がVC-B相当であることが分かる。
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