RION-JPN-vol12
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H3CH3CH3CH3CH3CH3CH3CH3CRRNNHHNNNNHHOOOONHNHRRNNOONNNHNHNNOO本特許の技術的ポイント 生物粒子計数器は微生物の細胞中にあるフラビン(代謝活性に関係する補酵素)という蛍光物質に対して、レーザー光を照射することにより発生する自家蛍光を検出します。自家蛍光とは、人為的に蛍光させるような前処理を施すことなく、光を当てるだけで細胞の構造や性質などによって生じる光の自然放出のこと。一般的に知られている大腸菌や緑膿菌などは、この自家蛍光が比較的強いのですが、生物粒子計数器のターゲットである純水や精製水などの、高度に精製されとても栄養が乏しい水の中に生息する細菌は自家蛍光が非常に微弱で検出が困難です。 そこで本特許は、あらかじめ微生物に深紫外線(UV-C:波長が280nm未満の紫外線)を照射することで、フラビンの自家蛍光を大幅に増強し、生物粒子計数器で検出しやすくするという発明です。 フラビンは微生物の中で様々な酸化還元状態で存在しており、その自家蛍光強度は還元型よりも酸化型の方が強いという特徴があります。通常、蛍光物質は、深紫外線などの強いエネルギーにさらされると、構成原子の化学結合の切断(酸化など)の影響で、自家蛍光が消失するものが多いの特許申請までの道のり 生物粒子計数器は人の手による前処理を必要とせず、インラインかつリアルタイムに水中の微生物汚染リスクの上昇を検知(スクリーニング)するための計測器です。研究開発当初の生物粒子計数器は水中に生息する細菌に対する検出感度がとても低く、その解決に苦慮しており、思いつくことは実験的に色々トライしていました。ある日、細菌に対して色々な殺菌処理を施し、自家蛍光がどのように変化するかを確認する実験を行っていたところ、紫外線殺菌を行った場合のみ、ほんの少しだけ細菌の自家蛍光が強くなることを発見しました。そこから紫外線の照射に着目し、照射量や光の波長を変化させるなどの深掘りを行ったところ、細菌の自家蛍光を増強発明者 関本 一真 出願番号 特願2013-23189(P2013-23189)出願日 平成25年2月8日公開日 平成26年8月25日これまで数々の特許を出願、登録し、社会に貢献してきたリオン。その発明がどのような内容で、社会にどう貢献するのかを紹介するコーナー。第2回は、光を使った微生物の検出方法に関する特許について。ですが、フラビンはとてもユニークで、酸化により蛍光が大幅に増強するという特長を持っています。 そこで、微生物内において様々な酸化還元状態で存在するフラビンに深紫外線を照射し、還元型フラビンのN-H結合を切断(酸化)して酸化型フラビンとする(図1)ことで微生物の持つフラビン由来の自家蛍光強度を増強し、生物粒子計数器での検出感度を大幅に向上させています。12図1 深紫外線照射によるフラビンの酸化関本 一真 微粒子計測器事業部 開発部 先端技術開発課。2007年入社。旧R&Dセンター所属時から生物粒子計数器の研究開発に関わり、本特許技術を考案。生物粒子計数器の活用の場を開拓すべく、市場調査、企画、試作機製作、市場での実証試験、プロモーションなど、多方面で活動している。(自家蛍光:弱)(自家蛍光:強)還元型酸化深紫外線照射酸化型フラビンの性質を利用して、微生物を検出![生物粒子計数システム及び生物粒子計数方法][生物粒子計数システム及び生物粒子計数方法]

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