7「リオンでは、新入社員同士が深い信頼関係を築くことが将来の業務に大きなプラスになると考えており、この研修はその基礎を作るためのものです。また、単に知識をインプットするだけではなく、現場での実地体験やグループワークを通じて自分たちで考え、行動するという実践的な能力を養うことも目的としています」 さらに、各社員が自発的に学ぶことができるような仕組みづくりにも力を入れている。たとえば毎朝8時半に新入社員が毎日交代でリーダーとなり、そのリーダーが朝礼を進行するというもの。そこでは、前日のリーダーから指名された者が、お題に沿った内容を3分間スピーチするという時間を設けている。「この3分間スピーチでは、プレゼンテーション能力や他者とのコミュニケーション能力が自然と磨かれていきます。さらに、研修中にはグループでのディスカッションやワークショップも多く取り入れていて、そこで得た知識や経験を、実際の仕事にどう活かせるかを考える時間を設けています。このような取り組みを通じて、新入社員には自主性と責任感をもって研修に取り組んでもらうよう促しています」や開発部の役割を学び、製造体験や営業同行といった実際の業務を体験します。また、研究開発センターでは新技術の開発プロセスを見学し、研究者たちがどのような視点でリオンの製品を生み出しているのかを知ることができます。リオンの研修は、座学だけでなく実践的な内容が豊富で、そこで得られる経験は非常に大きいと思います。だからこそ、真剣に取り組んで、自分自身の成長につなげてほしいです。それと、同期の結びつきは、長い目で見ても非常に大きな財産です。年次が上がっても同期との関係は続いていくことが多いので、研修期間にできるだけお互いを深く理解し合うということも意識してほしいですね」 生産工程を体感することで、技術の真髄を知る 丸一日かけて行われる補聴器の組み立て体験は、リオンの製品に込められた高い職人技やモノづくりの流れを理解してもらうことが狙いだ。「指導票」と呼ばれる組み立て説明書をもとに、ピンセットを手に持ち、顕微鏡をのぞきながら細かなパーツを使って耳かけ型補聴器を組み立てていく。「最近はデジタル製品が主流なのですが、お客さまが手で調整するタイプのアナログモデルを研修ではあえて選んでいます。それぞれのパーツの機能を理解できますし、組み立てがいがあって面白いんですよ」と話すのは、補聴器製造技術課の羽鳥宏明だ。下川 実名子経営企画本部 人事・総務部 人事課。2008年入社。医療機器事業部を経て2019年に人事部に配属。リオンと株式会社学研プラスがタイアップし発行した小学生向け学習教材「まんがでよくわかるシリーズ/耳と補聴器のひみつ」(2016年)の制作にも携わる。講義やグループワークを通じ、企業精神や協調の姿勢を学ぶ リオンの新入社員研修期間は約2ヶ月間。オリエンテーション期間と各事業部での職場研修から構成されるが、その内容は、講義だけでなく、補聴器製造体験をはじめ、製品が設置されているダムや飛行場といった現場見学、未来の新規事業のアイデアをプレゼンするグループワークなど、部署ごとの趣向を凝らした体験型研修が特徴だ。人事課の下川実名子は、研修の概要についてこう説明する。「入社式を終えた後、最初の10日間はオリエンテーション期間として、ビジネスマナーや情報セキュリティ、安全衛生など、社会人として必要な知識を幅広く学んでもらいます。また、リオンの歴史や技術の基盤となる音響学や耳の仕組みなどの講義を経て、各事業部でのオンボーディングが始まります。全部署を回りながら、リオン全体としてどのような業務が行われているのか、どんな人が働いているのかを学ぶためです。そして、この2ヶ月間の大きな課題が、並行して行われるグループワークです。ここ数年は、『リオンの未来を描く』というテーマで、5年後にリオンの事業に関する記事が新聞一面に掲載された場合、未来の内外環境の変化も捉えながらどんな記事が掲載されたかを、各グループで考えてもらい、役員や管理職に向けてプレゼンしてもらっています。新聞は、グループで協力しながらすべて手書きで完成させるので結束力も高まります」 過去のプレゼンには「微粒子計測器を応用し、火山噴火の中期的な予測を行う」「被災地でドローンと集音器を用いて被災者を発見する」といったリオンの製品や技術を活用したユニークなアイデアが多く見られた。グループワークでは、新入社員同士が互いに協力し合い、チームとしてアイデアを練り上げていく過程が非常に重要で、相互理解や協働力の向上も期待しているという。座学だけでなく実習を交えた内容で、各部署を渡り歩く リオンの新入社員研修のユニークなところは、個人の専門や配属先を問わず、全員がすべての事業部を回り、全社的な視野でリオンのビジネスを理解する機会が与えられる点だろう。微粒子計測器・医療機器・環境機器の事業部だけでなく、経営企画本部や研究開発、製造など、すべての部門を対象とし、それぞれを数日単位で回っていく。その後は、各部署で行われる業務や働いている社員の役割を理解し、自分がどのようにリオンの一員として貢献できるかを考える機会も設けている。「たとえば、環境機器事業部では営業部
元のページ ../index.html#9