いくつかの質問を投げかけた。リオンは今後、どのような方向へ進んでいくのだろうか。2025 年 4 月、リオンの社長に就任した加藤公規へ、海外への展開についてはどのように考えていますか? すでに稼働している海外拠点との連携を深めるのはもちろん、例えば、世界的に半導体関連工場の建設が増えるといった時流を踏まえれば、微粒子計測器事業の海外でのさらなる展開に注力すべきだと考えています。また、半導体の製造においてインドなどの新興国に世界的な注目が集まっており、当社としてもこうした地域に対してどのような展開をしていくのか、判断と行動を迅速に進めていきたいと考えています。リオンの社員に求めることはどのようなことですか? リオンの社員はとても真面目。その誠実な姿勢が長年にわたりお客様からの信頼を築き上げてきた当社の確かな強みです。一方で、お客様の今にしっかりと向き合う姿勢ゆえに、先を見通して動くことが少し難しいと感じられる場面もあります。ですから我々は今より一歩先、二歩先の提案、開発、行動ができるよう、日々意識していきたい。個としても、会社全体としても新たな領域へ踏み出さなければ発展はありません。リオンは専門家集団として、プロの技術をもって人々の困りごとを解決すべく、守るべきもの、変えるべきものをしっかり見据えながら、私自身も挑戦を続けていきたい。就任以来、社員にも「変わること、変えることを楽しみましょう」と、メッセージを送り続けています。社長就任に対する思いを聞かせてください。 私は管理部門や経営企画の出身で、常に会社全体を俯瞰するような部署にいたため、社長の業務でも違和感なく物事を地続きで思考できると実感しています。就任して間もないため「絶対にこれをやってやろう」と早急に決断することを敢えてせず、社長になって初めて見える景色を着実にインプットしつつ、自分が何を思考するのかという「変化」そのものに着目しながら、私が持つすべての能力を最大限機能させ、今後の的確な会社経営につなげていきたいと考えています。100 年企業を目指すためには何をすべきか、当社の仲間たちと議論を尽くし、より良い結論を出していくことも意識したいです。今後、リオンの発展にとって大切だと感じていることは? 当社が有する独自技術やこれまで培った強みを活かし、これらを新しい技術と融合させることで、新たな価値を創造することが重要だと考えます。もともと、リオンの核となるテーマは音と振動であり、創業以来、補聴器や医用検査機器、音響・振動計測器、微粒子計測器などの各事業部では、多様な製品やサービスを次々と生み出してきました。今後もこのような開発の輪をさらに拡張していくことも大切でしょう。一方で、事業部毎に分かれている開発現場では、近年、ある事業の課題を他事業の開発者が解決した事例もあり、組織横断的な連携をさらに深める必要性を強く感じています。そうした不易流行を見定め、新事業や新製品などが生まれるような環境づくりに注力したいです。代表取締役社長1974年生まれ。1997年にリオンへ入社後、企 画・経理部長、海外戦略部長、経営企画本部長を務め、2019年 に 取 締 役、2022年 に常 務 取 締 役 を 経て、2025年4月より代表取締役社長に就任。取材・文 /小林 良介 撮影/赤羽 佑樹新社長 加藤公規の想いと決意
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