リオンの社員が有する多様な資格を紹介していく連載企画 5 回目は「レーザ機器取扱技術者(第 1 種)」について。本資格取得を果たした社員が解説していく。 18 私が取得しているのは「レーザ機器取扱技術者(第1種)」という資格です。レーザとひと口に言っても色々な機器があり、レーザポインタのような小さいものからCDプレイヤーなどの機器に組み込まれているもの、コンサートの照明や、強力なものになれば金属を切断するようなものまで。これらを安全に取扱うための資格になります。 私は1997年入社ですが、その当時からリオンはパーティクルカウンタ事業を筆頭にレーザを使った機器を多数取扱うようになっていました。そうした中、社内においてレーザ機器を安全に管理しようという取組みが進み、環境管理委員会の下にレーザ専門部会が設けられました。レーザを取扱う作業者に対し、取扱い方や危険性などを指導し、認識させた上で作業に従事させることになったのです。私もパーティクルカウンタの開発者として作業に従事していたので、専門部会に入ることを前提に資格を取得することになりました。 試験は年に1度、12 月に行われますが、その2か月前には1週間のセミナーが行われます。その後週末には図書館の自習室で勉強して、久しぶりにこんなに勉強をしたなというくらいハードな日々でもありました。おかげで試験は一度で合格することができました。現役社員では、私を含め 4人だけが有する資格になります。 私が資格取得した当時、パーティクルカウンタ開発の現場では、より小さい粒子を測れるように、よりハイパワーのレーザを採用する方向にシフトしていきました。それまで扱ってきたのは「クラス3B」と呼ばれる分類までだったのですが、最も危険度の高い「クラス4」に該当するレーザを取扱う方針となっていったのです。このクラスになると皮膚にあたれば火傷しますし、裸眼で見てしまったら失明する危険があります。そうした過渡期にあたる頃に私は資格を取得したので、ハイパワーレーザを扱う業務上、資格取得で身につけた知識が非常に役立ちました。 レーザ専門部会が社内講習会を開き、作業者は受講後の社内試験に合格してレポートを提出し、ようやくレーザを取扱う作業をすることができます。私は社員に向けてその講習を行う側の一人。リオン社内ではクラス1以外のレーザを取扱う場合は、社内講習を修了することが必須であり、知見のある有資格者が労働安全衛生管理を行っているということになります。また目に見えないレーザ光もあり、気付かぬうちにダメージを受けている可能性もあるので、開発や製造、メンテナンスに携わる者は年に一度、眼底検査を受けることになっています。こうした社内基準を徹底することで、人体に影響を及ぼすような重大なインシデントは一度もありません。私を含めた「レーザ機 器取扱技 術 者」資格取得 者の知識と経験が、社内の安全に貢献しているという自負もあります。取材・文 /小林 良介 一般財団法人光産業技術振興協会が 1990 年度から始めた試験制度。レーザ機器の取扱いに起因する危険および障害を防止するため、取扱者や安全管理者に必要とされる知識水準を審査し試験合格者を協会に登録する。第 1 種と第 2 種の2 区分があり、第 1 種はレーザ機器の取扱いに関する安全管理及び安全設計に必要な専門知識、第 2 種はレーザ機器および取扱安全に必要な基礎知識を対象に試験が行われる。第 5 回 :【レーザ機器取扱技術者(第 1 種)とは】水上 敬微粒子計測器事業部 開発部。1997年入社。長年微粒子計の開発に従事し、生物粒子計数器の開発メンバーとして「XL-M4B」設計・開発プロジェクトなどを推進。精度を高めるための深紫外線照射装置の組み込みなどを行うほか、製薬業界の学会において精力的な活動にも注力。With The License Of…レーザ機器取扱技術者開発に必須である一方、 危険性の高いレーザを安全に取扱う資格資格と仕事
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