9 た「KC-22A 」だ。新方式のLD 励起固体(DPSS)レーザを採用するKC-22A2000 年、半導体レーザ励起の固体レーザ光源技術を採用し、センKC-242005 年発売。従来器の中でも大流量の部類に属する定格流量DPSSとは?LD 励気固体(DPSS:Diode Pumped Solid State)レーザは、半サの小型化を目指した。その最初の製品が、従来器に比べて小型でありながら、最小可測粒径 0.1 µm、 試料流量 2.83 L/minを実現しことにより、レーザアライメントが狂いやすく、高圧電源が必要なガスレーザの問題点を全て解決した。28.3 L/minを実現し、高清浄度のクリーンルームの評価や管理に適する。CFカードに測定データを自動的に保存できるなど、使い勝手の面においても大きく進化。光源は「KC-22A 」から引き続きLD励起固体(DPSS)レーザを採用し、ノズルの幅とビーム径とのバランスを整えることで大流量化に成功した。導体レーザ(LD)を励起光源として用いる固体レーザのこと。LDは特定の波長で効率よく発振できるため、利得媒質(例:Nd:YAG, Nd:YVO4, Yb:YAG など)の吸収帯に合わせやすく、エネルギー効率が高く、熱負荷の低減が可能。この方式によって、小型・高効率・長寿命・高ビーム品質・低ノイズといった特徴が得られる。よって、従来技術の課題を解決しつつ、多様な産業用途で高い信頼性とパフォーマンスを発揮する現代的なレーザシステムと言える。気中微粒子計測器の歴史はまさに光源の進化の歴史水上 敬微粒子計測器事業部 開発部。1997年入社。気中微粒子計測器の開発メンバーとして、初めてLD 励起固体レーザを採用した「KC-22A」のプロジェクトを推進。他にも生物粒子計数器開発の中心となるなど、リオンにおける微粒子計測器開発の中心的存在。LDレンズ固体レーザ結晶ミラー粒子検出領域 そして 2000 年、光源に半導体レーザ励起固体(DPSS)レーザを採用した「KC-22A」の開発に成功する。この製品は、小型軽量、長寿命で保守が容易、温度変化や衝撃にも強いという特徴を有していた。さらにその翌年には最小可測粒径0.08 µm、試料流量0.3 L/minの「KC-22B」のリリースによって、0.1 µm以下の微粒子計測を達成した。 そして 2005年、「KC-24」を発売。この製品は、リオン初の試料流量28.3 L/min、 粒径0.1 µmを実現したものだ。清浄度のクラス評価をする際には、1 ㎥ 中にいくつの粒子があるかを確認する必要があるが、大流量であればそれだけ早く体積中の粒子の数を評価することができる。また光源にはLD励起固体レーザを採用し、受光素子はフォトダイオードを 3個配した新技術を採用。開発に約3年の月日を費やしたこの技術は、以降の製品開発につながる大きな転機となった。 気中微粒子計測器開発の歴史は、光源の歴史と言っていい。ハロゲンランプに始まり、He-Neガスレーザ、半導体レーザ、そしてLD励起固体レーザへ。その進化と共に、製品は小型化・高性能化を続けてきた。 当初、公害による大気汚染を監視するために販売された気中微粒子計測器は、今や医薬品製造、食品製造、病院・手術室などの産業分野に欠かせない。また外部環境の変遷として、半導体産業の発展と共にクリーンルームが増加したことも大きなポイントだ。半導体製造工場のクリーンルームの維持・管理において気中微粒子計測器は必須の装置となっており、現在、リオンの微粒子計測器事業の製品ラインナップの多くが、こうしたエレクトロニクス分野を対象としている。光源の進化と共に成長を続けてきた気中微粒子計測器。現在は、通常の半導体レーザだけでなく新たな技術を用いたレーザの存在もあり、さらなる進化を遂げる日が来るのかもしれない。
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