小林理学研究所 音響科学博物館蔵取材協力/小林理学研究所 音響科学博物館 撮影 /赤羽 佑樹 進化する、音響と振動の技術音叉エレクトロニクスの進歩につれて、現在では実験に使用されることが少なくなった「音叉」。ここに写っているのは、ネジで止められた錘を上下に動かすことで、任意の音高が設定可能な、言わば「可変音程音叉」である。音叉の発祥は、1711年、英国の王室楽団に所属していたトランペット奏者であるジョン・ショアの考案によるものだとされている。音叉の誕生によって特定の周波数の純粋な音が簡単に得られるようになり、以降、楽器のチューニングをはじめ、聴覚検査や振動覚検査、物理の授業における共鳴現象の実験器具などの幅広い分野で用いられてきた。まさに音響の歴史を知る語り部のような存在だ。小型で携帯性に優れている点、取り扱いが容易な点、堅牢で動作が安定している点などから、現在でも演奏家たちに愛用されるこの音叉。見ての通り、オブジェとしての価値も十分に感じさせる。The World of AcousticsThe World of Acoustics
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