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~外耳道閉鎖症、多量の耳漏などにより通常の補聴器が使えない難聴者を主な対象に~
世界初の軟骨伝導補聴器を発売

2017年10月26日

リオンは、奈良県立医科大学 理事長・学長 細井裕司先生をはじめとした同大学の諸先生との共同研究により、主に外耳道閉鎖症、多量の耳漏などにより通常の補聴器が使えない難聴者を対象とした、世界初※の軟骨伝導補聴器を開発し、2017年11月13日から販売を開始します。
なお、本製品は軟骨伝導聴覚の研究から生まれた世界初※の製品となります。

※2017年9月末現在/当社調べ。

軟骨伝導補聴器について

軟骨伝導補聴器とは、通常の補聴器のイヤホンの代わりに、振動子を外耳道入口の軟骨部に装着し、増幅した音を軟骨部に振動で伝えて聞き取る補聴器です。これを実現させるために小型、高出力、低消費電力の振動子を新たに開発しました。補聴器に使用されるボタン型電池1個で駆動し、通常の補聴器と同様に使用できます。


軟骨伝導のしくみ(奈良県立医科大学 理事長・学長 細井裕司先生 監修)

開発の背景

外耳道閉鎖症などの疾患を持つ方々は、一般的な補聴器(気導補聴器)では補聴効果が低いため、ヘッドバンド式の骨導補聴器や埋め込み型骨導補聴器を使用しています。しかし、骨導補聴器はヘッドバンドなどにより頭部への圧着を必要とし、埋め込み型骨導補聴器は頭蓋骨にインプラント(金属端子)を埋め込む手術が必要です。
軟骨伝導補聴器は、一般的な耳かけ型補聴器と同様の形状をしており、耳の軟骨部へ軽く振動子を接触させることにより音が伝達されるので、圧迫感が少なく、装用するための手術は必要がありません。軟骨伝導補聴器は、外耳道閉鎖症などの疾患を持つ方々に対する補聴方法の選択肢を広げることができました。


【ご参考】

小耳症、外耳道閉鎖は、片側性は1万人の出生に1人、両側性は10万人の出生に対し1人の割合であり、全国には毎年片側性が約100人、両側性が約10人出生する換算となる。
※日本学術会議臨床医学委員会感覚器分科会の報告「感覚器医学ロードマップ 改定第二版 感覚器障害の克服と支援を目指す10年間」/2008年8月28日より一部抜粋


開発の経緯

2010年から奈良県立医科大学と共同研究をスタートし、「新構造の振動子を用いた世界初の軟骨伝導による補聴器の開発」事業として、2013年課題解決型医療機器等開発事業(経済産業省)、2014年医工連携事業化推進事業(経済産業省)、2015年医工連携事業化推進事業(AMED)を経て軟骨伝導補聴器を開発しました。奈良県立医科大学で臨床研究を行い、その成果を基に改良を重ね、2017年7月に厚生労働省から医療機器製造販売承認を受けました。



臨床研究について

2013年から奈良県立医科大学の細井裕司先生、西村忠己先生の下で軟骨伝導補聴器の臨床研究が行われました。被験者は幼児から高齢者まで幅広い年齢の男女合わせて42名で、先天性または後天性の外耳道閉鎖症および外耳道狭窄などの疾患をもつ方々です。この方々に軟骨伝導補聴器を使用していただき、補聴効果の確認と日常使用の評価を行いました。
補聴効果は、装用時の聞こえの測定、語音明瞭度測定、環境騒音評価にて確認しています。また日常使用の評価はアンケートにより行いました。
すべての被験者において、軟骨伝導補聴器による補聴の効果が確認され、そのうち40名が軟骨伝導補聴器を使い続けることを希望され、現在も装用を継続しています。


振動子について

安定した装用のため、装用者の耳の形状に合わせて、さまざまなタイプの振動子ユニットを用意しています。

     

(左)単体タイプ、(中央)イヤチップ貼り付けタイプ、(右)イヤチップ埋め込みタイプ


販売について

全国9ヶ所の指定医療機関での受診後に販売となります。ご購入を希望される方につきましては、当社営業部までお問い合わせください。医療機関をご紹介いたします。

[ご購入に関するお問合せ先]
 医療機器事業部 営業部
 TEL:042-359-7880  FAX:042-359-7441
 フリーコール:0800-500-2933
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