補聴器の歩み

言葉によるコミュニケーションを支えることは、その人の人生を支えること。
リオンの変わらぬ思いが、補聴器の進化を支えています。

日本初の量産型補聴器発売から、70年以上。
「聞こえ」と「小型化」を一貫して追求。

1948年(昭和23年)に、リオンが発表したH-501補聴器が、量産型国産補聴器の第一号です。それから70年以上にわたって、リオネット補聴器は、ご利用いただく皆様のコミュニケーションを支える言葉の「聞き取りやすさ」と、装着する利用者の強い願いである、目立たないための「小型化」を一貫して追求してきました。真空管からトランジスタ、ICへという音処理回路の進歩に加え、構成部品の高密度実装技術や部品配置の最適化などを推し進めることで、当初、弁当箱ほどの大きさだった補聴器は急速に小型化し、その性能も格段に改良されていったのです。現在では、耳の中に隠れてほとんど見えない超小型のタイプ(CICタイプ)も登場し、広く普及しています。

補聴器「H-501」
(1948年)

補聴器「HI-C3M」
(2014年)

一人ひとりの聞こえに合わせた音作りを目指して。
世界に先駆けて、補聴器をデジタル化。

1991年(平成3年)に、リオンから発表された世界初のデジタル補聴器は、補聴器の歴史を大きく変えました。音声信号をデジタル処理することで、各周波数の音の大きさを自由に設定できるマルチチャンネル化、雑音を低減するノイズリダクションや、これと併用して話し相手の音声を最優先で聞き取れる指向特性など、単純に音を大きくするだけのアナログ式補聴器では不可能だったきめ細かな「音作り」が可能になり、補聴器は一人ひとりの聞こえに合わせるための、音の柔軟性が劇的に改善されたのです。また、補聴器本体の各機能をコンピュータでデジタル制御することで、利用者の耳の状態や生活環境に合わせたきめ細かなフィッティング調整が可能になったのです。リオンが先鞭をつけたデジタル補聴器は、その後の世界中の補聴器の主流となっていきます。

世界初のデジタル補聴器「HD-10」(1991年)

あらゆる生活シーンで使える補聴器を。
お風呂でもプールでも使える世界初の防水型補聴器。

補聴器には、生活のあらゆる場面でご利用者のコミュニケーションを支えるという使命があります。この使命を果たす上で特に大きなハードルとなっていたのが、水への対応でした。この問題を解決したのもリオンです。
1986年(昭和61年)に登場した世界初の防水型補聴器は、水深1mの防水性能を誇り、激しいスポーツやプール授業、水回りでの仕事、入浴・シャワーといった場面でも外す必要もなく装用できるようになったのです。この防水技術は、長年にわたって他の追従を許さず、2013年には高度・重度難聴まで適応可能な耳かけ型防水デジタル補聴器を発売するなど、現在も防水型補聴器の分野で世界をリードし続けています。

世界初の防水耳かけ型補聴器
「HB-35PT」
(1986年)

防水型補聴器
「HI-G4WE」
(2005年)

乳幼児用の検査機器から、支援学校向けの設備まで。
日本の難聴児教育を支え続けてきたリオン。

言語学習をはじめとする様々な学習に大きな影響を与える子どもの難聴に対しても、リオンは真剣に向き合ってきました。特別支援学校の聴能教育のための集団補聴器を、1948年(昭和23年)に初めて試作し、その後改良を重ね、1954年(昭和29年)にはレコードプレーヤーと増幅器を一体化したポータブル型を完成し、全国のろう学校に納入しました。その後も、リオンの補聴機器が、日本全国のろう学校、特別支援学校の教育現場を支え続けています。
また、乳幼児難聴への取り組みも積極的に行ってきました。機能性、信頼性に優れた検査機器によって新生児聴覚スクリーニング検査の普及に貢献するとともに、お子様にも使いやすい補聴器の開発・提供にも努めています。

社会的な啓発から制度改革、インフラ整備まで。
バリアフリー社会実現へ向けた真摯な取り組み。

超高齢社会が現実のものとなる中で、増え続ける加齢性難聴の方々の生活の質の向上が、社会的な課題になっています。リオンは、国産補聴器市場のリーダーとして、この問題にも積極的に取り組んでいます。補聴器については、補聴器の普及と適正な利用を進めるために日本耳鼻咽喉科学会の補聴器相談医制度に協力し、補聴器相談医と販売店の補聴器技能者との連携を推し進めるとともに、関連の業界団体等を通じて、国や行政に対して補聴器購入の公的補助制度の充実を求めています。交通機関等公共の施設に対しては、聞き取りにくいアナウンスを補完する難聴者向けインフォメーション設備の設置を働きかけています。また、東日本大震災の経験を踏まえ、地震など災害時の警報や避難所における難聴者向け情報伝達のあるべき姿の検討にも目を向けています。

お客様の声を、高品質な製品開発に活かす。
身近な国産メーカーとして、お客様とともに歩むリオン。

国産補聴器メーカーであるリオンは、直営店/専門店ネットワークを通じて日本全国のお客様の声をしっかりとお聞きします。そしてその声は開発設計者に直接届いて製品開発の大きな原動力になっています。数多くのお客様の声を活かす中で、お年寄りでも電池のプラス・マイナスを気にせずに電池交換ができる「おまかせ回路」といった独自のきめ細かな気配り機能や、毎日つけていても壊れにくい高い製品品質が誕生してきたのです。リオンは、これからも最も身近な国産メーカーとして、すべての方の生活品質の向上とバリアフリー社会の実現に貢献していきます。

「おまかせ回路」(1996年〜)